おすすめ絵本 「ちがうねん」

<3歳ごろからおすすめ>

想像を巡らせるラストが新鮮

「ちがうねん」 ジョン・クラッセン著 長谷川義史 翻訳

真っ黒の海底を泳ぐ小さな魚が、自慢げに被る帽子。でもこの帽子は、『ぼくのとちがうねん  とってきてん』
と小さな魚が誰かの帽子をとってきてしまったという、罪の告白からお話は始まります。

大きな魚から寝ているすきに帽子をとってきてしまった、小さな魚。
帽子のことなんか気づいてない。気づいたって僕を怪しむわけない。と余裕で真っ黒の海を泳ぎ誰にも見つからない場所を目指します。

面白いのは、このお魚のちょっと生意気な感じがよくつたわる関西弁のセリフと、そのセリフとは裏腹なシーンの絵です。
小さい魚は1人余裕の発言で海を泳ぎ進んでいきますが、その背後からは・・・
こどもたちは小さい魚の余裕の言葉を聞きながら、目はハラハラするシーンにくぎ付けです。
「だめだよ!」「ばれちゃうよ!」「きてるよー!」とドキドキ。そして・・・

この絵本は最後ラストを明確には示していません。また帽子をとられた大きな魚のセリフがないのも、小さい魚どうなっちゃったの?という想像を掻き立てます。
「あれ、小さいお魚どうなったの?」と聞いてくるかもしれませんし、「食べられちゃったのかも」とショックを感じるかもしれません。
この独特のラストの感覚は、幼児向けの絵本にはなかなかない新鮮な物だと思います。
人のものをとるお魚が主人公の本だなんてと思う人もいるようですが、人のものを取ったらいけませんという教育のための本ではなく、ラストにあるような本の世界の雰囲気を味わうための本だと思います。それに小さなお魚もこどもも、「とったらあかん。わかってる。」のです。

可愛い絵本もいいですが、ちょっとこわくてはらはらドキドキする「ちがうねん」おすすめです。